令和6年の御忌会を厳修しました。
法然上人は称名念仏をお称えすれば、思い通りにならない娑婆世界を生き抜いた最期に極楽浄土へ生まれ変われることをお示しになりました。これは念仏を称えることを通じて人間が如何に生きるべきか、ということの本質を見事に示してくださっていると思っています。そのような大切なことをお示しくださった法然上人に感謝をするのが御忌会という行事になります。
私たち、少なくとも御忌会に参加してくださっている方々は、日ごろから御忌会や年回法要といった仏事をとても大切にされています。
どうして私たちは仏事を大切にしているのでしょうか--。
それは、毎日を一生懸命に生きるため、そして最期は大切な人たちの待つ極楽浄土にお迎えいただくため、という2つの目的があるからです。
毎日を一生懸命生きるために、どうして仏事が必要なのでしょうか--。
それは多忙な日々を送る我々に内省をする機会を提供してくれるからです。私たちは日々の生活に忙殺され、本来自分が大切にしようとしていたことなどの本質を見失いがちになります。本堂で静かにご先祖さまや仏様を前にして自己と向き合う時間は、私たちに見失いかけていた物事の本質を再確認する機会を与えてくれるのです。
極楽浄土にお迎えいただくために、どうして仏事が必要なのでしょうか--。
それは念仏を称えることができるからです。京都に行くにしても新幹線の切符を買わなくては行くことができないように、極楽浄土に往くためには念仏を称えなければ往けないのです。切符を買えば一安心ですが、何時の新幹線に乗るのだったか忘れてしまうときがあります。そんなときは切符を見直したりします。念仏も同様で、ちゃんと極楽浄土に往かれるか再確認するために折に触れて念仏を称えるのです。
次の春彼岸会までは2カ月ほどあります。寒い日が続きそうですが、自らが大切と思う生き方の本質を拠り所に毎日一生懸命生きていきましょう。
2か月後、忙殺される日常から一息ついて、一生懸命生きる拠り所となる内省を再びおこなうため、極楽浄土にお迎え頂くための再確認をするため、春彼岸会でまたお会いしましょう。